自分の経験なんてたかが知れてるんだよ

自分が一生のうちに経験することなんてたかが知れてる


コーヒー屋になる前

航空整備士という職業を長いことやっていた

戦闘機から大型旅客機さらにはセスナなんかの小型機まで


おそらく現在の日本で、これだけのカテゴリーの航空機整備を経験したのは僕だけだと思う(軍用機が絡んでいるし、現在の資格体系や就職形態からはもうこんな奇遇なバカは出てこないと思う・・・)

数年前、知覧でゼロ戦のスクラップを見たときに、(これ全部整備できる)と思ったときは自分でも驚いた(笑)飛行機の進歩なんてそんなものだ


それだけやってきたという自負はあれどメカニックとしての経験値からいえば、業界ではまだまだ半人前のレベルだと思っていた

どれだけいろんな経験を積んだか?でメカニックとしての腕も知識も上がっていく

しかしながら自分が携わる作業など整備作業全体の中のたかが知れたもので、何年たっても経験値はなかなか上がらないものだ

だからメカニックは人の経験談を良く聞くし、自分の体験(失敗談)も良く話す

『あの作業でああやってこうしたら失敗した』
『あそこはこういう工具を使ってやったら上手くいく』
知ってるか知ってないかで作業進行に天国と地獄ほどの差があるから真剣だ


自分の失敗を人に話すことは恥ずかしいことではなく、より良い飛行機を作り上げるために失敗の共有はとても大切なことというのを皆が理解している

同僚のミスは皆でカバーするし、ミスしたこと自体を責める人間は誰もいない

もちろんミスして「何が悪いの?」と開き直るアホもいない


そんな土壌が培われているので、他人の経験をたくさん聞いて、それを自分の経験として糧にするというメカニックの性質は誇りだ


伝統工芸や職人の世界では「見て盗め」的な、師匠は何も言わず弟子は師匠の一挙手一投足から何年もかけてテクニックを盗むことが当たり前に受け継がれているけど、飛行機のメカニックの世界はそれとは対極にあるような気がする(どちらがいいとかいう単純な話ではない)


自分の失敗を隠さずに話してくれる人には、相手を育てようとする心や優しさがあると思います

上手くいった話ばかりする人に何の魅力も感じないのは僕だけではないはずです

「自分の経験なんてたかが知れてるんだ」

そう思えるか思えないかが

スキルアップできる人とできない人の差だと思うわけです

まじめな話でした(笑)






rakuencoffee

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